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前夜祭レポート

ウイングカップ前夜祭は、各参加団体が約5分前後の超短編を上演する企画である。毎年のことだが、各団体の前夜祭に臨むスタンスはばらばらであり、今回もそうであった。大別すると①本公演のイントロダクション(ルルイエの黄昏、劇団皆奏者)、②登場人物の重複など本公演に関連がある上演(花観小屋、自由バンド)、③本公演とは独立したものになるだろうパフォーマンス(劇団ヘラヘラ企画、一敷座、劇団ひととき、劇団激男、はちみつ悟り隊)、といった具合である。③が多いのは特に本公演が年を跨ぐような団体の場合、まだ創作に着手すらしていないので単純に予告の作りようがない事情もあるだろう。ただ面白いもので、本公演の手掛かりになるものは少ないながらも、団体や創ろうとしている作品のテイストは何となく感じられるものである。その意味では、男性2人がそれぞれはちみつのチューブを1本ヨーグルトと一緒にほぼ無言で食べきるだけという、YouTuberがやっていそうなパフォーマンスを行ったはちみつ悟り隊は、その男性2人が団体の関係者だが出演者ではないらしいということも含めて謎そのものであった。

ところで、当企画の動機の一つとして、関西(大阪)小劇場演劇をめぐる批評的言説の不在についての危機意識があり、筆者もそれは共有しているつもりでいる。しかし、演劇批評の不在どころか「批評」というジャンルそのものの衰退を嘆くことさえも、繰り返されてきた常套句でしかない(ただここで詳しく述べるには紙面がないが、私個人の体感としては、演劇批評の不在はこれでもまだ十数年前よりは随分ましになったのではないかと感じている)。そして、今誰が「劇評」を読んでいるのかは定かではないが、主に公的助成金を貰うための「箔」や「太鼓判」として作り手が劇評を必要としていることは確かであることを、果たして本当にそれでよいのかということも含め、複数の論者が述べている。以上を踏まえたうえで、「やったらやりっぱなし」にしすぎないためのアーカイブ機能も期待し、当企画に取り組んでいけたらと思う。

執筆者 プロフィール

三田村啓示(みたむらけいじ

主に関西圏を中心に、演劇について多岐にわたる活動を行う。第18回(2015年)関西現代演劇俳優賞受賞。KYOTO EXPERIMENT主催【批評プロジェクト 2025】にて、「告白と謎」が最終選出作に選ばれる。最近は労働と育児の合間に演劇作品に出られそうなら出たり、雑文や劇評を書いたりする。WINGCUP審査員については、ウイングカップ5より10年にわたり務めた。

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